『テンカラ入門編』キャストさえ決まればビギナーでも釣れる
- By: シゲジイ
- カテゴリー: テンカラ
- Tags: テンカラのキャスティング

テンカラにおいて最も重要なことはキャスティングです。全く魚が釣れない時は何が悪いのかあれこれ考えるものです。ポイントが悪いのか?毛バリが悪いのか?はたまたこの川には全く魚がいないのか?そんなことさえ考えてしまいます。
しかし答えはそのいずれでもありません。問題はキャスティングにあります。
魚は目視出来なくても、そこらじゅうに潜んでいます。漁協が管理しているような渓流であれば尚更です。釣れない、魚が居ないと感じるのは、自分自身が釣りをしながら居るはずの魚を蹴散らしているだけなのです。
ではどうするべきか?
要は魚に気付かれずに振り込み、自然に毛バリを流せればいいのです。やることは至ってシンプルで、巧みに魚を誘い出すアクションなども必要ありません。
とは言え、玄人レベルで自然に流すことは簡単ではありません。しかし、時々魚が釣れるくらいに流すことならビギナーでも少し練習すれば出来るようになります。
一朝一夕で多くの魚が釣れるようになるわけではありませんが、いくつかの注意点さえ押さえてキャストし、自然に流せるようになれば、ポツポツと釣れる魚が増えてくるはずです。
目次
キャスティングにおいて守るべきポイント
- 出来るだけ遠くからポイントに振り込む
- 必ず毛バリから着水させる
- メインラインを水に浸けない
- ラインにテンションを掛けずに自然に流す
- 3秒&3回ルールで、テンポよくポイントを変えながら釣る
出来るだけ遠くからポイントに振り込む
当然の事ながら、毛バリを流す前から魚に気付かれてしまっては元も子もありません。基本的に魚は上流を向いて泳いでいますので下流側からそっと近づいて、可能な限り遠くからキャストします。
近づく時にばしゃばしゃと水音をたててはいけません。水中で石がごろっと転がるだけでも魚は敏感に反応して逃げ隠れてしまいます。水面にロッドをかざすのもNGですし、自分の影を落とさないようにする工夫も必要です。
テンカラにはリールがありませんので、ロッドの長さ&ラインの長さで最大射程距離は決まってしまいます。自分の間合いを理解し、ギリギリの位置までそっと忍び寄ります。
山中で一人、岩に身を隠し、腰を屈めてそっとポイントに近づく自分がいます。俯瞰で見るといい年したおっさんのこそこそした姿が間抜けだなと思いますが、これがなかなかどうして楽しいものですよ。
必ず毛バリから着水させる
先に糸が着水してしまうと、もうそのポイントでは釣れないと思った方が良いです。糸の存在に気付いた魚が警戒心MAXで岩陰に隠れてしまうからです。
あたかも木の上から虫が落ちてきたかのように、飛んでいた羽虫が力尽きて落ちてきたかのように、毛バリだけをポトリと落としてやる必要があります。
やる気のある魚はちゃんと水面を見ていますので、着水と同時にバイトすることもよくあります。
メインラインを水に浸けてはいけない
着水後、水に浸けていいのはハリスだけです。だらーっと糸を水面に垂らしてしまうと魚は釣れません。
フライフィッシングだと水面にメインラインが浮いているイメージがあります。フライの場合はハリスに相当する部分がかなり長いので大丈夫なのですが、テンカラではそうはいきません。
テンカラの場合、ハリスは1m前後です。魚の感知範囲はこれよりも広いのでメインラインまで水に浸けてしまうと魚に大きな違和感を与えてしまいます。
至近距離での釣りになりますので、こうしたラインの扱いには細心の注意が必要です。ロッドの先端を高い位置で保持したまま、ハリス以外は水に浸けないように心がけてください。
ラインにテンションを掛けずに流す
毛バリは着水した瞬間から流されて行きます。この時にラインにテンションがかかってしまうと毛バリは不自然な流れ方をしてしまい、魚に不必要な警戒心を与えてしまいます。
ですので、流れの速度に合わせて張らず緩まずの状態を保つロッドコントロールが必要になります。
テンカラには「誘い」というテクニックがあり、あえてラインにテンションを掛けてくいっと引っ張ったりすることもありますが、そんな難しいことは今のところは考えなくて大丈夫です。
ただ川の流れに乗せて毛バリを流すことだけに意識を向けてください。毛バリが見えなくても問題はありません。水中に入っているラインの周辺に意識を集中して、水面下を流れている様子をイメージしながら流します。
3秒&3回ルールで、テンポよくポイントを変えながら釣る
流す時間は3秒間。同じポイントにキャストするのは3回まで。
こうしたルールを決めてテンポよく釣り上がる方が、結果的に魚に出会えるチャンスが増えます。やる気のある魚がいれば、たいていは1投目で釣れます。2投目はフォロー、3投目は魚が居ないことを確認する為の作業だと考えてください。
どんなに良さそうに見えるポイントでも、3投以上は時間の無駄だと割り切って次のポイントに移動しましょう。どんなに頑張ってみても毛バリは所詮毛バリです。生餌ではないので、粘ったからといって釣れる訳ではありません。
管理釣り場ならば、誘いを駆使して、毛バリをころころと変えるなどして、あの手この手で釣るしかないのでしょうが、ポイントが多く存在する自然渓流においては一か所に拘る理由はありません。
次のポイントにいるであろうやる気のある魚に出会う為に、積極的に移動しましょう。
キャスティング動作
グリップ
人差し指をグリップに沿えるようにふんわりとグリップします。固くぎゅっと握る必要はありません。
振り幅
振り幅は、12時~2時の間。
ロッドを立てて前へ倒す、ただこれだけの動きで十分です。これ以上前後に大きく振り回すとミスキャストの原因となります。
バックキャスト
前に倒したロッドを真上に振り上げます。水面にあるラインを斜め後ろ上に跳ね上げるように素早くロッドを起こします。そして、ロッドを12時の位置で止めて下さい。
勢いあまって12時の位置を越えてしまわない力加減でバックキャストをします。引っ張り上げらたラインは後方に伸びていきますので、伸びていくラインを感じてください。
フォーワードキャスト
ラインが後ろにしっかり伸び切った頃合いで、素早くロッドを2時に位置まで倒します。後方に溜まったラインの重みを押し出すようにフォーワードキャストをします。
飛ばしてやろうと力を入れてはいけません。ロッドのしなりを感じながら、ロッドの反発をそっと手助けしてやるだけです。
2時の位置にそっと置くようにロッドを止めます。この時に人差し指をロッドから離すと無駄な力が抜けて、振りすぎを防いでくれます。
着水
ラインが伸びていき、伸び切った時に毛バリが着水するのが理想的です。
着水後も、ロッドは2時の位置をキープして、ラインを水に浸けないように穂先を高い位置でキープしてコントロールします。
キャストの失敗例
①ラインが伸び切らずにふにゃふにゃと、狙ったポイントより手前に落ちる
ロッドを振るスピードが遅く、ロッドの反発力を活かしきれていない状態です。バックキャスト時に12時の位置でしっかりととめて、ロッドのしなりを感じながらキャストしましょう。
②ラインでぴしゃっと水面を叩いてしまう。
フォーワードキャストでロッドを前に倒し過ぎているのが原因です。飛ばしてやろうと力を入れ過ぎず、2時の位置できちんとロッドを止めることに注意しましょう。
③ラインが空中で絡んでしまう
ロッドを振る速度が速すぎます。バックキャストで後方にラインが十分に伸びていない状態でフォーワードキャストに移行するのでラインが空中で絡んでしまいます。しっかりと、後方にラインが伸びるのを感じてからフォーワードキャストに移行しましょう。
アタリとアワセ
目視できるアタリ
極めて簡単なのは水面に出た時です。ばしゃっと出たり、もわっと波紋が出れば魚のアタリです。慌てずに1拍おいてからロッドを立てて合わせます。
水中でも魚の腹がキラリと光ればアタリだとわかります。毛バリが水中にあっても、糸が水に入っている周辺に目を向けていれば、こうした水中でのアタリも見て取れます。
目視出来ないアタリ
完全に水中にある、あるいは水面が波立っている時などはキラリと光る瞬間も見えません。そんな時はラインか手応えでアタリをとるしかありません。
ラインが止まる・流れに逆らって動く
流れているラインが止まった時は、水中で何かに触れたサインです。石なのか魚なのかわかりませんが、怪しいと思えばロッドを立てて合わせてみることをお薦めします。
ラインが流れに逆らって走れば、ほぼ間違いなく魚のアタリです。
コツっというアタリ、ぐーっと重さを感じるアタリ
ラインを見て判断するアタリが圧倒的に多いですが、時々ロッドで感じるアタリもあります。コツっというアタリや、僅かですがぐーっとラインが重くなるようなアタリがあります。
目視できる出来ないに関わらず、違和感を感じたらロッドを立てて合わせてみるといいです。
テンカラでは“遅アワセ”が基本となります。目視出来る時ほど早アワセになりがちなので、意識的にゆっくりアワセる必要があります。
アワセた後、魚を引き寄せる時にバレてしまうことがよくあります。これも早アワセが原因です。バラシが多いなと感じたら、アワセに間を持たせましょう。
まとめ
キャスト精度を上げ、キャスト回数を増やせば、自ずと魚と出会える確率は向上します。
“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる” ではないですが、とにかく数を打ちましょう。魚は必ず潜んでいますので、どんどん投げて、どんどん移動して、ビギナーでも釣れる優しいお魚さんを探しあてましょう。
心折れずに投げ続ければ、いつか出会えるはずです。
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